Glückliches Neues Jahr! 謹賀新年2018年

Glückliches Neues Jahr! 

 

    2018年1月14日 記

皆さま今年もよろしくお願いします。

本年の目標は・・もちろん引き続き全身全霊で音楽の結晶化に取り組むことに変わりありませんが、「不屈の精神、鋼の心臓」を座右の銘とします。

雑 事、雑音にダメージを受けず、作品に集中する。自分はいわば一種の楽僧、修行僧のようなものですから、精神の汚濁から身を遠ざけて粛々と音の真理を探求、 純化して成果をまとめることに精進すること。これが音の表現によって社会に還元していくには重要。ライフワークを達成する唯一の道なのでしょう。

 

さて、暮れから正月まで、非常に忙しくしておりました。どこのおうちもそうですよね。

私の場合ちょっと特殊なのは、お年始のあいさつとして新曲を作り、年賀状に楽譜をプリントして送るというのをやっています。そしてホームページで「あること」をするとその曲を聴けるという仕組みを作っておき、方法を書いておくわけです。

ライブもCDも間隔が開いてしまっているので、今私の音楽はこういう方向になってますというSheet Music Postcard なのです。海外の友人にはメールに添付して送信します。

いただく年賀状にも「次のCDはいつ?」「ライブの時は知らせて」というお声を頂いているので、近況報告として重要なものなのです。

  また、この年賀曲シリーズはCDには収録してませんしライブでもやらないので、私と年賀状をやりとりしている人間だけが聴けるという「エクスクルーシヴ」 チューンなわけで、応援してくださる方への特典という意味もあるのです。いつかは年賀曲集としてCD化するか、アップロードするとは思いますが。

忘れ去られてしまわないように、作品の進化をセルフレポートしているのですね。

未来的には楽譜ではなくQRコードの画像などをプリントして、スマホをかざすと音が出る、となるかもしれませんが、現時点ではアナログです。

ーーーーーーーーーーーーーー

 また毎年末「こん詰める」たびに火事場のバカぢからというか「ゾーン」(笑)に入って、新たな表現獲得するのです。(ちなみに昨年のバトミントン奥原選手には非常に強く感銘を受けました。) 過去のお年始曲を聞き直すと確かに次の段階へのステップアップになっているのです。

 

 今回もこの15㎝×10㎝ という範囲に入る楽譜にまとめるのが一番の難関で、研究中のたくさんのことから、どれを主体にして何を省略するか、挑みました。

主体とした「無伴奏でも感じ取れる遠隔調への新しい転調方法」は昨年の手法を深めるという事で、ここに半音階旋律と跳躍を組み合わせる方法、ハーフディミニッシュ前後の新しい連結、少ない跳躍で和音進行を感じさせる方法、オルゲンプンクト(保続音)でクロマティック進行やエンハーモニック転調、部分無調性、単旋律擬似2声などを少しずつ残し、切ったり、組み替えたり、調を変えたり、と実験を繰り返しました。かつ曲として新鮮さ、楽しげな生命力も出すのをおろそかにしないように。

  いつも短い曲の中で工夫を凝らすということではシューベルトの「Heidenröslein( 野ばら)」が心の中にあります。はじめに提示した主題が2回目にエキゾチックに変化して・・・詳しくは次回書きます。

    毎年12月中旬からこれに向けて徹夜続きでヘトヘトになります。しかも楽譜のスペースは、縁取りに若干の装飾、挨拶の言葉のマージンも空けますから、実際は14㎝×8㎝ぐらいになります。長い曲にしてしまうと縮小して読めないぐらい細かいものになってしまうし、プリンターの解像度を越えてしまいつぶれ気味になってしまう。

和声に興味があるのでピアノの2段譜で記したいところですが、小節数が半分になってしまう。そこでジャズでよく使う「リードシート」式、つまりメロディーを5線譜に書いて、上にコードネームを添えておくという方法を使う場合が多いです。

 ところが私の設定した和音をきちんと記すと、例えばB7♭13#11/A♭、E♭aug△9/G、というテンション表記になってしまい、相当ジャズをやった人間でなければ弾けませんし、音楽大学出身者でも無理でしょう。

  興味がもっとポリフォニックなものになると、これだけでは表しきれませんから、音符の棒を逆方向にして2パートを書き込むべきですが、見づらくなるし、果たしてこれを見て弾く人がいるのだろうか、ということになっては無意味です。

ここが悩みの種なのです。海外のグリーティングカードぐらいのサイズなら、まだ自由度があるのですが。そこで和音自体のテンションは少ないが転回形、分数コードを連結する事でシンプルにする方法を編み出しました。

しかし困ったことに、印刷する段階でプリンターが不具合を起こす(かのEpson)。高いインクを買って交換して、テストプリントしてヘッダー調整してまたテストプリントして、やっと刷れんのかというところで「◯色のインクが少なくなりました、交換してください」だって。この繰り返し。今まで2台使ってきましたが同様。しかも黒に2種類あるうちの片方フォトブラックだったり、色ですらないグロスオプティマイザー(透明コーティング、不要なのに!)だったりする。ふざけんな、2度とエプソンは買わない!この作業で今までどれだけ睡眠時間とインク代を失ったか。

 結局以前ギターを教えていた方が買い換えるのでと寄付してくださった、古いCanonのプリンターを使わせて頂いています。ネットで対応の安いインクを入手して。

それでもドライバーソフトが現行OSのものがないので、工夫して、と風前の灯火。本来はレーザープリンターが必要なのでしょう。レッスン時の資料やコンサート時に渡すパート譜も綺麗にプリントできるし滲まず、CDジャケットも教則本も再販が希望されているギターノートも作れるはずです。

  ソフトも以前使っていたイラストレーターが、今のOSでは動きませんが、買い直そうとしてもフォトショやウィーバーなど全部セットのものを買わなきゃいけなくなっていて「法外な値段」。ほんと、あこぎな商売しますね。だから無料ソフトをダウンロードして使うわけですが、代表的なGimpはテキストツールで日本語が使えないときている。

それで他にレイヤーが使えて日本語テキスト入力のできる描画無料ソフトを探し、結局マンガ原稿用のものをダウンロードしてやってみました。

・・・と全てがブレーキベクトルで、私のクリエイティヴな活動を止めにかかってくるわけですが、精神力と睡眠削減で乗り越えるわけです。まあお金があればもう少し楽なんですが。

 事務所に属していませんから、プロモーションとしても、ある音楽家が生きた記録としても、この年賀状新曲は一大イベントで取り組みます。まあ極真空手の寒稽古のようなものです。

  かといってあまり、教条主義的に、完璧主義、強迫観念的になりすぎないように気をつけたほうがいいのかもしれません。(いや、すでになってんじゃないのってわけですが)

 

 ということでお年始曲作曲、年賀状プリント、音源のアップロード、あて名とコメント書いてから発送、と七転八倒し、1枚のハガキにしか見えないかもしれませんが、膨大なエネルギーが詰められているのです。これがひと段落してやっと私の1年が始まります。

 

★他には、ドイツの親戚に、ウィーンの音楽家とやりとりしているメールを添削してもらったりして、やはり日本のドイツ語教本の信用しすぎに注意しないといけないなと勉強になりました。

 

★あと、久しぶりに地元の同級生とセッションしました。

小・中学の同級で、高校時代は一緒にバンドもやったギターの友人ですが、当時私はヴォーカルでした。ゆったりできる広さにギター、アップライトピアノもある羨ましい環境で、今回は私がピアノを弾き、彼がギターを弾きながら歌ったりしました。あくまで遊びですが、こういうドメスティックな環境での小編成でもハーモニーを高めていけば良いアンサンブルになるはずです。日本ではあまり行われないでしょう。カラオケが日本の生音楽を殺したと言ってもいいですね。

各地のピアノ教室の先生がコードの読み方やさまざまな伴奏パターンを教えるだけで状況は激変すると思いますが、やらないですね・・・。題材にすべき日本の歌曲がないというのも原因ですね。アメリカならカントリーやフォスターの歌曲、フォークリバイバル以降のフォーク、カーペンターズやバカラックなどのポップス、1900年代初頭からのミュージカルや映画の曲などがあるし、イギリスならブリティッシュ・トラッド、もちろんビートルズ、ケルト民謡、スキッフル、ダスティ・スプリングフィールドらのヒット曲、フランスならシャンソンやルグランの映画主題曲、イタリアならカンツォーネ、ブラジルならサンバ・カンソン、サンバ、ボサノバ、ロマンチカ、MPBなど。つまり電気楽器やドラムが無くても国民の多くが口ずさめる曲ですね。そうしたものは家庭や酒場、パーティー、学校の放課後等でピアノやアコーディオン、ギターの伴奏で歌われてきた。年代を問わず浸透しています。これが日本にはないのですね。

この問題はまた別の機会に詳しく書きます。

 

★さて、昨年は私のライフワークでもある音楽と自然について、バランス的に植物の性質と近づけました。学生時代から常に絡めながら活動してきましたが、恒常的に管理しながらというのが難しいのです。現在はハーブが寒さに弱いので家の中に入れて簡易ビニールハウス的にして、夜は不織布をかけています。東京ですが家の中でも0度になりますので。果たして春になって復活してくるか・・?

    このテーマというのは入れ子をひとつ外に行くと「芸術表現と宇宙」ともいえます。弦の振動は空気を震わせ、聴くものの鼓膜を通して耳小骨を揺らし、リンパ液の中の細胞が電気信号として蝸牛神経に伝達され、脳に感情の変化を引き起こします。時には鼓動や血流の変化をもたらし、健康に影響を及ぼすこともあります。これは食べ物が体内に入り、エネルギーになると同時に筋肉細胞や骨、神経細胞の材料となることに似ています。汚染されたものを多く摂取すれば、新陳代謝に寄って汚染された肉体に傾き、汚染された精神を生み出し、悪循環を招くことと似ています。

つまり良い振動を伝えるには私が汚染されていない状態でいる必要があります。シューベルトやバッハ、ショパンなど素晴らしい作曲家の作品が今も心に響くのは、こういうことが関係していると思います。Devotionですね。

 これが私が精神を磨き、筋トレをして、語学の努力、自然へ耳を傾ける理由でもあります。

ただし、時間がかかります。その分、成果があがるまでお金もかかります。

鍛錬、集中、積み重ね、あるのみです。

 

具体的には、今年は★鍵盤の習得にもっとエネルギーを注ぎ、★ギターは前回書いたような変速ハープチューニングの活用、★クラシック音楽の専門書の勉強(前回書いたような古代脚韻ーメトゥルムーダクテュロス ,アナパイストス,イアンボスなどがどのように旋律に反映されてきたのか、対位法の元になった定旋律はどこからきたのか、近代以降Olivier Messiaenのmodes of limited transpositionを使った和声法、チェレプニンの9音音階,LevyのNegative Harmonyなど) を深めつつ、★木管楽器のジャズ的室内楽の作曲と実現に結実させる。これが目標。

 

 長いスパンのものなのでそれほど昨年と変わりはしませんが、資料を国立図書館から取り寄せたりネットから翻訳したりするようになってきました。買うとお金がかかりすぎるからです。ただし届くまで時間がかかるのが難点で、持ち帰れない場合も多い。音楽大学の資料室も使えればと思います。ドイツ語で原書を読めるようになるともっと加速できるのですが・・・。

そして発表にはインターネットの活用も促進しようと思います。

  さらに他にも竹の弦楽器の完成、ハーブからの精油抽出、庭の収納の修理、11弦ギターを修理して練習、ロングネック・ギターの再活用、録音システムの効率化、3rdCDの完成、語学の強化(ポルトガル語、イタリア語も)、録画してある各分野の講座の勉強、ヴォイストレーニング、5弦フレットレスベースを再活用してギターとの新しいアンサンブル法、サックスの練習し直し、教則本の完成と販売、ヒグラシ録音の編集とCD化、インターネットラジオ録音物のライブラリー化、不要物のオークション出品など整理、4月には自動車の車検、HDDデータの重複を解消してデフラグし、どの端末からでもアクセスできるようにする、テレビの録画DVDに焼いてHDD容量を空けられるシステム作り、レーザープリンターを導入、オリジナルギターノートを増刷して販売、ゴダンのGR信号でVP-9000を使った表現、などなどやるべきこと、なさねばならぬこと、なんとかせねばならないこと、なせばなること、やれば道が開けること!など沢山あります。

でも1番の優先事項は良い作品を作って、インターネットで発表することです。

「不屈の精神、鋼の心臓」です。

それでは皆皆の者、お互いコツコツ頑張りまっしょー。

 

Schönen Jahr noch. Bis bald !

 

              2018年1月14日 記

-----------------------------